それは

それは其処に在った。在り続けた。叫ぶこともせず、ただ存在していた。


久しぶりに手に取った。一月弱くらいか。だがそれは何も変わらずそこにあった。
エッジのある鋭い歪み。
密度と倍音の豊かな、此方は新入りか。
だが全て、慣れ親しんだ音だ。音だけじゃなく、ギターもアンプも、
全てが変わらずそこにあった。


待っていた。と言うのは願望かもしれない。
それらには意識などなく、だが確かに弾く者を待っていた。


そして俺は帰って来た。